【日税連税法データベース】法人税法第22条4項「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」につき過年度遡及修正を認めず、企業会計原則の前期損益修正により修正するのが相当とする判例が登録されました~TAINS情報

個人的に興味深い、前期損益修正に代えて更正の請求をすることの可否等が争われた行政裁判例が、日税連税法データベース(TAINS)に収録されました。

事件番号    平成24(行ウ)212
事件名     更正すべき理由がない旨の通知処分取消等請求事件
裁判年月日   平成25年10月30日
裁判所名    東京地方裁判所
(裁判所HPによる判例全文)

<事案の概要>
消費者金融業を営んでいたA社が、顧客から支払を受けた制限超過利息を含む約定利息(いわゆる過払金)を益金の額に算入した上で法人税の確定申告をしていたところ、その後の更生手続において、過払金返還請求権に係る債権が更生債権として確定しました。
これを受け、A社の管財人である原告が、各事業年度において益金の額に算入した制限超過利息等に係る部分は過大であり、企業会計基準委員会が平成21年12月4日に公表した企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」の遡及処理をを導入したことなどに照らすと過年度の遡及修正を認めるべきである旨等を主張して、更正の請求をしました。しかし、税務署長より更正をすべき理由がない旨の通知処分を受け、更に国税不服審判所長に審査請求をしたが棄却の採決をされたことから、法人税の還付を求めて提訴したものです。

<裁判所の判断>
東京地裁は、企業会計原則において、過去の利益計算に修正の必要が生じた場合に、過去の財務諸表を修正することなく、要修正額をいわゆる前期損益修正として計上する方法を用いることが定められていることは、法人税法22条4項に定める公正処理基準に該当すると解するのが相当、と判断しました。
法人税の確定申告は確定した決算に基づいて行うもの(法人税法74条1項)であり、遡及処理が過去の「確定した決算」を修正するものではないから、上記の遡及処理が行われた場合でも、その過年度の確定申告において誤った課税所得の計算を行っていたのでなければ、過年度の法人税の課税所得の金額や税額に対して影響を及ぼすものではない(国税庁が平成23年10月20日付けで公表した「法人が『会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準』を適用した場合の税務処理について(情報)」)。本件においては、仮に何らかの上記の遡及処理をすることができる類型に該当したとしても、過年度の確定申告において、制限超過利息の収受が法的に無効であるか否かに関わらず現実に生じた経済的成果として申告するという正しい課税所得の計算を行っていた、としています。

結果、本件更生手続において、各事業年度において益金の額に算入されていた過払い金(制限超過利息)につき、その支払が利息等の債務の弁済として私法上は無効なものであったとしても、それについては、当該確定の事由が生じた日の属する事業年度において処理されることとなり、過年度遡及修正は認められないとともに、各事業年度の課税標準等又は税額等の「計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと」になるとはいえないというべき、とのことです。

なお、本件で企業会計基準第24号が「一般に公正妥当と認められる会計の基準」として認められず、企業会計原則によるとされた根拠については、同24号は「平成23年4月1日以後に開始する事業年度の期首以後に行われる会計上の変更及び過去の誤びゅうの訂正から適用されるものである(したがって、本件更生会社に係る更生債権の一般調査期間の末日である平成23年5月12日の属する平成22年11月1日から平成23年10月31日までの事業年度については,その適用はない。)」とされています。

企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」の遡及処理の適用判断については、今後、国税通則法第23条に基づく更正請求手続の争いの余地が残る書きぶりです。