金融庁「日本風力開発株式会社に係る有価証券報告書等の虚偽記載に対する課徴金納付命令の決定」

金融庁は、8月29日付で「日本風力開発株式会社に係る有価証券報告書等の虚偽記載に対する課徴金納付命令の決定を公表しました。

平成25年3月29日、証券取引等監視委員会は、同社は、関東財務局長に対し、下記の有価証券報告書につき、実態のない風力発電機販売斡旋取引に係る売上の計上があるとの違反事実を認定し、金融商品取引法第172条の2第1項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」として金3億9,969万円の課徴金納付命令を発出する旨、金融庁に勧告しました。
○平成21年6月24日提出 第10期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(平成20年4月1日~平成21年3月31日の連結会計期間)
○平成22年7月28日提出 第10期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書の訂正報告書(平成20年4月1日~平成21年3月31日の連結会計期間)

これにつき、同社は、有価証券報告書に虚偽記載はないとして審判手続を申し立てたとこにより、以後審判官3名により審判手続(平成24年度(判)第41号金融商品取引法違反審判事件)が行われてきましたが、今般、審判官から金融商品取引法第185条の6の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、金融庁が課徴金納付命令を決定しました。

審判手続においては、実態のない風力発電機販売斡旋取引に係る売上の計上につき、
1.役務提供の実態がないことについて
2.対価の実態がないことについて
の二点が争点となりました。

これらにつき、審判官は、
○本件各販売斡旋契約に係る役務の内容として被審人が主張する行為は、本件各販売斡旋契約の存在いかんにかかわらず被審人が行う被審人自らのための行為にすぎないと認められる。
○風力発電機の販売先である建設会社から売買代金の一部を受領した後に、被審人に対し、本件各販売斡旋契約に係る販売斡旋手数料を支払っており、また、建設会社は、発電所子会社から工事代金の一部を受領した後に、風力発電機メーカーに対し、その受領した金額の範囲内で風力発電機売買代金を支払っていたものである。
などを認定することにより、指定職員(当局側)の主張を認めています。

なお、同社は、命令決定の同日、裁判所に対して課徴金納付命令の決定の取消しの訴えを提起し、別途平成25 年4月18 日付けで開示した「有価証券報告書の虚偽記載に係る訂正報告書の提出命令取消に関する訴訟の提起について」における取消訴訟(現在係争中)と共に、当局側と争う旨をリリースにより明らかにしています。

第三者委員会報告書格付け委員会、第二弾格付け結果(「株式会社リソー教育第三者委員会の調査報告書(公表版)」に対する調査報告書)を公表

平成26年8月28日、第三者委員会報告書格付け委員会(委員長久保利英明、國廣正、齊藤誠、竹内朗、行方洋一の弁護士5氏と、高巌、野村修也、八田進二の大学教授3氏、科学ジャーナリストで元日本経済新聞論説委員の塩谷喜雄氏の総勢9人により構成)が、「株式会社リソー教育第三者委員会」が2014年2月10日に公表した「調査報告書(公表版)」に対する格付け結果を公表しました。

企業不祥事(不正会計事案を含む)が発覚した際に、不祥事企業が、独立した委員により構成される第三者委員会を設置し、事実調査、原因究明、再発防止策の提言といった役割を、同委員会に委ねる実務慣行が定着していますが、かねてから「玉石混交で、不祥事を起こした組織に都合の良い報告書がかなり目に付く」との指摘が一部のステークホルダーや関係者よりなされています。
このため、「第三者委員会報告書」の内容を精査して、格付けするという「第三者委員会報告書格付け委員会」という組織が立ちあげられ、今年6月に第1弾として、みずほ銀行の(反社会的勢力癒着問題に関する)特別委員会報告書(公表版)が格付けされていますが、本件の公表はその第2弾となります。

「株式会社リソー教育第三者委員会」(弁護士髙野利雄氏(元名古屋高等検察庁検事長)委員長、同神垣清水氏(前公正取引委員会委員)、同佐々木善三氏(前京都地方検察庁検事正)及び公認会計士南成人氏(仰星監査法人 代表社員)を委員とする4 名で構成)による調査報告書は、みずほ銀行の場合とは異なり、証券取引等監視委員会により有価証券報告書の虚偽記載が認定され、課徴金の行政処分がなされた不正会計事案に関するものです。

同格付け委員会にとって、初めてのディスクロージャー案件となる当該調査報告書は、日本弁護士連合会「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠して作成した、と公表されていますが、その格付けはCが2名、Dが3名、そして、最低ランクであるFが2名とされました。

この評価方法については、同格付け委員会での議論に基づき、各委員が、A、B、C、Dの4段階で評価され、内容が著しく劣り、評価に値しない報告書についてはF(不合格)とされるとのことです。

第一弾のみずほ銀行の格付けはCが4名、最低はDで4名であり、公表当時にはそのシビアな評価に、各メディアや関係者の間で結構話題となりましたが、今回の格付けはそれを更に下回る、大変厳しいものとなっています。

金融庁「企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)」等の改正案に対するパブリックコメントの結果等について」を公表

平成26年8月27日、金融庁は、「企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)」等につき、平成25年12月25日に公表された金融審議会「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ」報告書の提言及び同ワーキングにおける議論を踏まえ、平成26年6月30日(月)から平成26年7月30日(水)にかけて意見の募集を行っていた結果を、「企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)」等の改正案に対するパブリックコメントの結果等について」として公表しました。

パブコメの結果とともに、ガイドラインの改正がなされています。その概要は以下の通りです。

●企業開示ガイドライン2-12(取得勧誘又は売付け勧誘等に該当しない行為)
増資予定企業の情報発信等を促すため、同ワーキングにおける議論に従い、法令上禁止されている、有価証券の募集・売出しに係る届出の前の「勧誘」に該当しない行為を明確化しています。
同ガイドライン2-12③から⑦までの規定は、有価証券の募集又は売出しに言及しない情報発信であることを前提としており、その限りにおいて2-12③から⑦までに該当する場合には、取得勧誘又は売付け勧誘等に該当しません。

●企業開示ガイドライン8-3(特に周知性の高い者による届出の効力発生日の取扱い)
「特に周知性の高い企業」が行う募集・売出し(すなわち、市場でよく知られた企業の増資)のうち、対象有価証券の取得・買付けの判断を比較的容易に行うことができ、投資判断に与える影響が限定的な場合には、有価証券届出書の届出者の待機期間(注)を短縮する措置を設けました。

(注)現行の金融商品取引法の下では、上場企業が有価証券を発行し投資者に取得させるには、有価証券届出書を提出した後7 日間の待機期間が必要とされています。この待機期間は、投資者が、開示されている情報に基づき、当該有価証券の取得・買付けの是非を判断するための熟慮期間とされており、その際、投資者は、投資判断に当たり、増資企業の経営状態等に関する「企業情報」と、募集・売出しに係る有価証券自体の情報である「証券情報」の二つの情報について検討するものと考えられています。

これらガイドラインは、平成26年8月27日付で適用されます。

日本公認会計士協会がホームページで「監査提言集」を公表

平成26年7月1日(火)、日本公認会計士協会がホームページで「「監査提言集」の公表について」を公表しました。  

公表された資料は、「監査提言集」における監査業務の各段階、手続に分けた提言部分を集約した「監査提言集(一般用)」です。

※会員専用ページには、会員用77ページ版が掲載されています。

「不公正ファイナンスの実態分析と証券取引等監視委員会の対応」が証券取引等監視委員会より公表されました

2013年6月下旬に、証券取引等監視委員会から「不公正ファイナンスの実態分析と証券等取引監視委員会の対応」が公表されました。
近年、同委員会は、金融商品取引法の罰則規定である第158条(偽計)を適用・刑事告発した上場企業の開示規制違反事例につき「不公正ファイナンス」と概念して、市場関係者に対する積極的な広報活動を行っております。
本件の公表は、実際の告発事例を実名とともに、スキーム図も掲げてファイナンス手法や登場人物、その後の経緯なども紹介しており、非常に具体的かつ斬新な内容となっています。
「不公正ファイナンス」と区分される証券市場に対する侵害行為については、好ましいものでないことは理解できても、資金調達行為そのものは違法でないことから対応は簡単でない、といった意見が、時折聞かれます。
とりわけ、公認会計士の立場からは、不公正ファイナンスと会計監査の意見表明との関連は少し分かりにくいものと思われます。
しかし、本件の内容には、上場したものの業績不振に陥った新興企業や、ビジネスモデルに行き詰った老舗企業にアレンジャーなどが関与して、経営支配権が移転した後、MSCBの乱発などにより上場を維持し、市場から資金調達するだけの事業体として生き永らえる、いわゆる「箱企業」化するプロセスが丁寧に記載されています。これまで不公正ファイナンスの実行に利用された上場企業は、経営実態が不明瞭であったケースが多いことがわかります。
一般論として、深刻な経営不振で、経営実態が不明瞭な状況に陥っている場合には、企業統治や内部統制が脆弱なことが珍しくありません。また、発行株式数が少ない企業の株価操縦は、比較的たやすいものと思われます。
そういった一定の上場企業は、「箱企業」に変貌させて思いのままに利用しようとする正体不明の勢力に狙われやすいだけでなく、その他の不正行為、たとえば、株価を維持するための粉飾や、架空増資、不適切な不動産の現物出資なども併発するリスクが高まることまでも、これらの過去の事例は示しています。
今回の公表は、不正リスクの考察にかかる生きた教材として、大いに利用可能なものになると考えられます。